長湯温泉で現在利用されている源泉は51あり、毎分4,479リットルの温泉が湧出しています。すべての温泉に炭酸ガス(二酸化炭素)が含まれていますが、その量により呼び方が異なります。つまり、温泉1リットル中に1,000mg以上の炭酸ガスが溶け込んでいるものを“炭酸泉”といい、1,000mg未満を“炭酸水素塩泉”といいます。
長湯温泉には、炭酸泉と炭酸水素塩泉が混在しており、温泉1リットル中に、概ね(おおむね)300mg~1,400mgの範囲で炭酸ガスが溶け込んでいます。そしてその多くが、30℃~50℃の高温域に分布しているのも大きな特徴です。高温には溶け込みにくいとされる炭酸ガスが多く含まれ、しかも広範囲で大量に湧き出ている日本屈指の温泉地です。
そして、長湯温泉の最大の特徴である炭酸ガスは、体内に吸収され毛細血管を拡張し、血液の循環(血行)をよくするという不思議な性質があります。
御前湯には3本の源泉があり、それぞれの分析結果は次のとおりです。
源泉 | 使用浴槽等 | 泉温 (℃) |
水素イオン 濃度 (ph) |
遊離 二酸化炭素 (mg/l) |
炭酸水素 イオン (mg/l) |
泉質 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1階大浴場、 貸切家族風呂 |
47.2 | 6.8 | 572 | 2400 | マグネシウム・ナトリウム ―炭酸水素塩泉 |
2 | 3階大浴場 | 48.1 | 6.7 | 677 | 2680 | マグネシウム・ナトリウム ―炭酸水素塩泉 |
3 | 1階、3階の冷泉 | 29.9 | 6.6 | 440 | 1000 | マグネシウム・ナトリウム ―炭酸水素塩泉 |
(平成28年10月28日分析)
炭酸ガスが1リットルの温泉に溶け込む量は、理論的には、水温0℃で約3,400mg、40℃で約1,000mg、50℃で約900mgが飽和量(限界)といわれていますから、御前湯の2源泉は、この温度では限界の炭酸ガスが溶け込んでいるといえます。
ところで、長湯温泉においでいただく方の中には「長湯の温泉はすべて炭酸ガスの泡が付着する」というイメージをお持ちの方がいらっしゃいます。多くの炭酸ガスが含まれているといっても温度や他の含有成分との兼ね合いなどもあり、浴槽で炭酸ガスの泡が付着するのはわずかです。ちなみに、御前湯の浴槽では泡は付きません。しかし、泡が付かない、といってがっかりする必要はありません。炭酸ガスを多く含んだ泉質は折紙付き。泡が付くか、付かないかの違いだけで効能に変わりはありません。
温泉分析書別表に、「温泉の医治効用は、その温度その他の物理的因子、化学的成分、温泉地の地勢、気候、利用者の生活状況の変化、その他諸般の総合作用に対する生体反応によるもので、温泉の成分のみによって温泉の効能を確定することは困難である」と明記されていますが、療養泉分類の泉質に基づく一般的な効能(適応性)は次のとおりです。
浴用 | 飲用 |
---|---|
きりきず、やけど、慢性皮膚病、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔症、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進 | 慢性消化器病、糖尿病、痛風、肝臓病 |
「飲んで効き 長湯して利く長湯のお湯は 心臓胃腸に血の薬」と歌われたように、温泉を飲むこと、温泉に入ることそれぞれに効能が認められています。
※効能には個人差がありますので、保証するものではありません。
炭酸ガスは、入浴効果を高め心臓病、胃腸病、リウマチなどに効果があります。 入浴することにより体内に炭酸ガスが吸収され、それが全身の血管を拡張して血流をスムーズにします。血液の流れがスムーズになることで血圧を下げ、心臓の負担が軽くなるので、心臓の働きが改善されるというわけです。
また、炭酸イオンの働きが皮膚の炎症を抑えたり、関節リウマチ、坐骨神経痛のような痛みや運動障害を伴う疾患などに効果があります。長湯温泉は、重炭酸イオンとカルシウム、マグネシウムを多量に含み、その上に鉄分も含有していますので、アレルギー性疾患や慢性の皮膚炎、ジンマシンに効果があります。
ヨーロッパでは古くから、温泉療養として飲泉(温泉を飲むこと)が行われてきました。特にドイツでは、「飲泉は野菜を食べるのと同じだ」といわれており、その効果が認められています。
炭酸ガスは胃腸の働きを活発にし、水分の吸収をよくしますので、温泉を飲むことにより、胃腸病、肝臓病や便秘に効果があるのは言うまでもなく、利尿効果により痛風、尿管結石、膀胱炎、糖尿病、慢性胃腸炎に効果があります。 ただし、あまり飲みすぎると下痢をすることがありますので、1回100~200cc、1日200~1000ccが適量といわれています。
飲泉の効能については、前に述べたとおりです。
御前湯では玄関にある飲泉場のほか、館内すべての湯口から出る温泉を飲むことができます。温泉には何も加えず、源泉をそのまま利用していただいているという紛れもない証というわけです。
ヨーロッパで古くから飲泉が行われていたように、長湯温泉でも温泉を飲むという行為は古くから行われており、浴用と同じように重要なものと考えられています。大地の恵み、ミネラルをそのままお飲みください。
長湯温泉には、御前湯のほか4箇所の飲泉場が整備されています。(ドイツ村は休止中)